新卒1年で会社を辞めた判断を、5年後の自分が採点する

私は新卒で入った会社を、1年で辞めました。

辞めた直後は転職活動が全滅し、派遣社員になって年収は350万から260万に落ちました。それから5年たって、いまは年収900万です。

結果だけ見れば「辞めて正解だった」と言えます。でも、それは雑な振り返りだと思っています。当時の判断を「辞めると決めたこと」と「辞め方」に分けて、いまの目線で採点します。

先に結論です。

  • 辞めると決めたこと:○
  • 辞め方:×

「このままでいいのか」と思っている人に伝えたいのは、後半の×のほうです。

当時の状況

新卒で入ったのは、子どもの頃から憧れていた映像業界の制作会社でした。仕事はプロデューサーやディレクターの補佐全般。言ってしまえば、代わりの効く仕事です。

私は覚えるのだけは早いほうで、3か月で業務をひと通り覚え、半年で先輩と同じ水準でこなせるようになりました。

ただ、その会社には決まりがありました。

  • 入社から5年はアシスタントとして修業する
  • 昇進試験に受かって、初めてディレクターになれる
  • ディレクターになれば年収は600万ほど。30代で1000万の先輩もいる
  • それまでの昇給は年に5,000〜10,000円。賞与は年2か月分。月給は25万円

悪い会社ではありません。5年かけて一人前に育てる仕組みには、現場なりの合理性があったはずです。

でも私は、半年で覚えた仕事を、あと4年続けることに耐えられませんでした。その間に高校の同級生は、商社や銀行で、あるいはエンジニアや営業として、上を目指して試行錯誤している。20代の5年間をここに置いていいのか。

悩んだ末に、勤続1年のタイミングで退職届を出し、1か月後に退職しました。

採点①「辞めると決めたこと」は○

いま振り返っても、辞めるという判断そのものは間違っていなかったと思います。理由は2つです。

学習曲線が寝ていた。 入社半年で、仕事の伸びが止まっていました。新しく覚えることがない状態で過ごす時間は、給料はもらえても、自分の市場価値は増えません。20代の時間の使い道としては、いちばんもったいない形でした。

その席の「5年後の値段」が、先に決まっていた。 どれだけ早く仕事を覚えても、5年間は年5,000〜10,000円の昇給。これは私の能力の問題ではなく、その席の値段がそう決まっていたということです。年収は、能力よりも「どの席に座っているか」でほぼ決まります。値段の決まった席に座り続ける限り、努力しても結果は変わりません。

この2つが揃っているなら、席を替えることを考えていい。いまでもそう思います。

採点②「辞め方」は×

問題はここからです。私は、何も決めずに辞めました。

  • 次に何を目指すのか、決めていなかった
  • どの業界・どの職種なら届くのか、調べていなかった
  • 次の席を確保していなかった

時期はコロナ禍の2年目。いまのような売り手市場ではなく、スキルもないまま1年で辞めた人間を相手にしてくれる会社はありませんでした。面接は得意なつもりでしたが、まったく通らない。生活のために、派遣社員としてコールセンターで働き始めました。年収は260万。新卒のときより90万低い数字です。

結果的には、この派遣先が転機になりました。でもそれは、あとから道筋を立て直せたから言えることです。辞めた時点の私は、ただ追い込まれていただけでした。

「勢いで辞めてどん底を見たから、本気になれた」という語り方もできます。ただ、それは生き残った側の理屈です。同じことをして、立て直せないまま時間だけが過ぎる可能性のほうが高い。だから、辞め方は×です。

辞める前にやるべきだった3つのこと

当時の自分に会えるなら、退職届を出す前にこの3つをやらせます。

1. 目標を、数字と期限で決める

私が「30代前半で年収1000万」という目標を決めたのは、辞めたあと、全部を失ってからでした。順番が逆です。

目標がないまま辞めると、次の会社を「いまより良さそうか」でしか選べません。目標が数字と期限で決まっていれば、「この会社はその道の上にあるか」で選べます。

2. 届くルートを書き出して、自分が通れる道を選ぶ

目標が決まれば、そこに届くルートは数本しかありません。私の場合は5つ書き出して、学歴も実績もない自分が通れる1本に絞りました。この過程は30代前半で年収1000万に届く5つのルートに詳しく書いています。

これをやってから辞めていれば、転職活動で受ける会社がまったく違っていたはずです。

3. 次の席を確保してから辞める

在職中に転職活動をする。当たり前のことですが、当時の私はやりませんでした。

無職で転職活動をすると、「早く決めないと生活できない」という焦りが判断を歪めます。選ぶ側ではなく、選んでもらう側に回ってしまう。在職中なら、納得できる席が見つかるまで待てます。

「このままでいいのか」と思ったら確認する3つの質問

いま同じ違和感を持っている人は、辞めるかどうかを決める前に、次の3つに答えてみてください。

  1. この半年で、新しくできるようになったことはあるか(学習曲線は寝ていないか)
  2. いまの席の、5年後の年収はいくらか(その席の値段は決まっていないか)
  3. その金額は、自分が目指す数字に届くか(そもそも、目指す数字を決めているか)

1と2が両方「まずい」なら、席を替えることを考えていいと思います。ただし3に答えられないうちは、まだ辞めないでください。私はそこを飛ばして、1年余計に遠回りしました。

まとめ

  • 新卒1年で辞めた判断そのものは○。学習曲線が寝ていて、席の値段も決まっていた
  • 辞め方は×。目標も、道筋も、次の席も決めずに辞めた
  • 辞める前に、目標を数字と期限で決め、届くルートを選び、次の席を確保する
  • 違和感はたぶん正しい。ただ、辞める前に地図を描く

あのときの違和感は、いまでも正しかったと思っています。足りなかったのは、勇気ではなく、地図でした。

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遊佐

Fラン卒・23歳で年収260万の派遣社員から、転職3回を経て28歳で年収900万の事業責任者に。学歴・資格・コネなし、あるのは数字で考える癖だけ。「23歳の自分に渡したかった地図」をここに書いています。

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