23歳で、派遣先の現場マネージャーになりました。25歳のときには課長代理で、直属の部下が10人、その下に契約社員・派遣社員が100人以上いる組織を見ていました。
部下の年齢層は、30〜40代が中心でした。全員、私より年上です。
「できます」と先に言うの記事で、マネジメントでいちばん苦労したのは「タイプの違う部下」と「年上の部下」だったと書きました。この記事は、その答えです。最初に何をして失敗したか、どう切り替えたか、そして年下上司だからこそ使える、少しずるいやり方について書きます。
最初の失敗:舐められないように、気を張った
年下の上司が最初に考えるのは、たぶんこれです。「舐められてはいけない」。
私もそうでした。23歳で、社会人経験の長い人たちに指示を出す立場になる。頼りなく見えたら終わりだと思って、気を張っていました。
結果は、すぐに出ました。指示や指摘をしたときに、反抗的な表情をされる。言葉で反論されたわけではありません。でも顔を見れば分かる。「この若造が」という空気が、指示を出すたびに返ってきました。
いま思えば当然です。マネジメントの経験がなく、実力の裏付けもない23歳が、虚勢だけを張っている。相手は30代、40代の大人です。虚勢は、経験のある人には一瞬で見抜かれます。しかも、見抜かれた瞬間に「頼りない」から「感じが悪い」に変わる。気を張ることで、状況を悪くしていました。
切り替え:「未熟だから、助けてね」
そこで、スタンスを逆にしました。
舐められないようにするのをやめて、**「私は未熟なので、助けてください」**という姿勢に切り替えました。
具体的に変えたのは、頼み方です。指示ではなく、協力を募る。「こうしてください」ではなく「ここが分からないので、力を貸してもらえませんか」。自分ひとりで背負っている顔をやめて、頼る。
もうひとつ、同時にやったのが、みんなの小さな困りごとを解消していくことでした。派遣社員の頃に業務改善で信頼を得たのと同じやり方です。マネージャーになってからも、周りが実際に困っていることを聞いて、それを一つずつ片付けていく。大きな改革ではなく、小さな困りごとです。
この2つで、空気が変わりました。反抗的な表情が消え、私の指示を聞いてくれるようになった。信頼は、虚勢では作れなくて、「助けてもらった」と「助けてくれた」の積み重ねでしか作れませんでした。
タイプの違う部下には、対話と傾聴
年上の部下は、年齢が違うだけではなく、タイプも違います。自分と同じタイプの人には、自分がうまくいったやり方をそのまま伝えれば通じる。でも、タイプが違う人には、その言葉が届きません。
私が結局たどり着いたのは、対話と傾聴でした。
相手の話をよく聞く。何に困っていて、何を大事にしていて、どういう言い方なら動けるのか。それを聞いて、寄り添ったうえで、マネジメントする。順番が大事で、先にマネジメントしようとすると、タイプの違う相手には何も届きません。先に聞く、それから動かす。
これは、派遣社員のときに課長と関係を作ったやり方とも同じです。相手の困りごとから入る。立場が上になっても、やることは変わりませんでした。
年下上司だからこそ使える、ずるいやり方
ここからが、この記事でいちばん伝えたいことです。
年上の部下を持つ人に、ひとつだけ言うならこれです。
舐められないように虚勢を張るのではなく、コミュニケーションを取って、協力を仰ぐ。「助けてください」のテンションで。
これは、年下上司だからこそできる、少しずるいやり方です。
同じことを50代の上司がやったら、「この人は頼りない」と思われるかもしれません。でも、23歳の上司が「未熟なので助けてください」と言うのは、誰が見ても自然です。実際に未熟なのだから、嘘もない。そして年上の部下は、年下に頼られると、応えてくれます。経験を認められること、必要とされることは、たいていの人にとって嬉しいことだからです。
年下であることは、弱点ではなく、使える条件でした。虚勢を張って隠そうとしていたものが、実は最大の武器だった。気づくまでに、反抗的な顔を何度も見ることになりましたが。
まとめ
- 23歳でマネージャー、25歳で部下100人超。部下は30〜40代が中心で、全員年上
- 最初は舐められないように気を張った。返ってきたのは反抗的な表情。虚勢は経験のある人に一瞬で見抜かれる
- 「未熟だから助けてね」に切り替え、協力を募り、頼り、小さな困りごとを解消した。それで指示が通るようになった
- タイプの違う部下には、対話と傾聴。先に聞いて、寄り添ってから、マネジメントする
- 年下であることは弱点ではない。「助けてください」と言えるのは、年下上司だけの武器



