幹部求人に落ち続けた私が立てた「大企業の看板」という仮説

25歳のとき、私は配下100人超の組織を見る課長代理で、年収は500万円でした。

23歳で派遣社員として入った会社で、3か月後に正社員、半年後にマネージャー、1年半後に課長代理になった結果です。数字だけ見れば、悪くない実績だと思っていました。

ところが、その実績を持って幹部求人に応募したら、落ち続けました。

この記事では、なぜ落ちたのか、そこでどんな仮説を立てたのか、結果どうなったのかを書きます。うまくいかないときに「もっと頑張る」以外の手を探している人の、参考になればと思います。

実績はあるのに、通らない

当時の私の目標は「30代前半で年収1000万」。そのために選んだ道は、スタートアップや中小企業の幹部になることでした(なぜその道を選んだかは5つのルートの記事に書いています)。

25歳で年収500万には届いた。でも、その会社にいても1000万には届かない。それは見えていました。

ちょうどコロナが落ち着き、転職市場は売り手に変わっていました。計画どおり、スタートアップや中小企業の幹部層の求人に応募を始めます。

結果は、全然だめでした。

面接で言われるのは決まって「若いのにすごいね」。でも、その目は「本当かな」と言っていました。

足りなかったのは、実績ではなく信用だった

いま振り返れば、疑われて当然でした。

まず、私の話し方です。企業理念に沿った話ができるわけでもなく、自分なりのマネジメント論もない。「100人を見ていました」と数字は言えても、幹部として会社をどうしたいのかを語れませんでした。幹部としては未熟だったと思います。

もうひとつは、経歴の見え方です。新卒の会社を1年で辞め、派遣社員になり、そこから2年で課長代理。本人にとっては必死に積んだ実績でも、初めて会う人から見れば「話ができすぎている」経歴です。

ここで気づいたのは、実績と信用は別物だということでした。

実績は自分の中にあります。でも信用は、相手の中にしか生まれません。そして初対面の相手は、私の実績が本当かどうかを確かめる手段を持っていない。だから「すごいね」で終わって、採用には至らない。

実績をさらに積んでも、この問題は解決しません。必要なのは、相手が確かめなくても信じられる材料でした。

仮説:信用は、借りられる

そこで立てた仮説がこれです。

誰もが知る大企業に一度在籍する → 「大企業が採用した人材」という裏付けがつく → 懐疑的な目が消える

自分の実績を信じてもらえないなら、すでに世の中に信じられている会社の看板を借りればいい。大企業の採用を通ったという事実は、私の代わりに「この人は一定の水準を超えている」と証明してくれます。

正面から受けない

ただし、大企業を正面から受けても通りません。社会人3年目で、すでに転職2回目になるからです。書類の時点で落とされる経歴でした。

なので、採用のハードルが下がる条件を考えました。

  • 離職率が高い(=常に人を採っている)
  • 全国転勤がある(=敬遠する人が多い)

この2つが揃う業種として、店舗ビジネスに絞りました。人気がなくて入りやすい入口を、わざと選んだということです。

結果、誰もが知る企業から内定をもらい、地方のエリア管理を任されました。年収は550万円でした。

看板を借りに行ったら、学んで帰ってきた

在籍したのは1年です。正直に言えば、最初は看板が目的でした。でも、得たものは看板だけではありませんでした。

その会社は、マニュアルと規則が徹底して作り込まれていて、真面目に働けば誰でも評価される仕組みになっていました。労働組合があり、物価上昇を上回る昇給も保証されている。30代後半には誰でも年収800万に届く給与テーブル。さすが大企業だと思いました。

そこで学んだことは3つあります。

  • 企業理念を、現場に落とし込むことの大切さ
  • 管理職が、それを自分の言葉に乗せて語ることの重要性
  • マニュアルと規則を作り込み、徹底することの威力

お気づきかもしれませんが、これは幹部求人の面接で、私に足りなかったものそのものです。理念に沿って語る力も、マネジメントの型も、前の会社では学ぶ機会がありませんでした。大企業の中に入って初めて、「組織を動かす側の言葉」を覚えました。

検証結果

1年後、その経歴を持って転職活動を再開しました。

現在の会社に、幹部職として採用されました。面接で、あの懐疑的な目を向けられることは、もうありませんでした。

仮説は当たっていたことになります。ただ、効いたのは看板だけではなかったとも思っています。看板で疑いが消え、そこで学んだ言葉で、幹部として話ができるようになった。この2つが揃ったから通ったのだと思います。

うまくいかないときは、努力の量より仮説を変える

幹部求人に落ち続けていたとき、私にはもうひとつ選択肢がありました。いまの会社でもっと実績を積んで、部長になってから再挑戦する、という道です。

それを選ばなかったのは、落ちている原因が「実績の不足」ではないと考えたからです。原因が信用なら、実績を足しても結果は変わりません。

うまくいかないとき、人は同じやり方のまま量を増やしがちです。応募数を増やす。面接の練習を増やす。資格の勉強を増やす。

その前に、一度立ち止まって考えてみてください。

  1. 落ちている本当の理由は何か(実績か、信用か、伝え方か、そもそも受ける場所か)
  2. その理由は、いまのやり方の延長で解消するか
  3. 解消しないなら、遠回りに見えても別の入口はないか

私の場合は、1年の遠回りが、結果的にいちばんの近道でした。

まとめ

  • 実績と信用は別物。初対面の相手は、あなたの実績を確かめる手段を持っていない
  • 信用は借りられる。私は「大企業が採用した人材」という看板を借りた
  • 入りにくい場所は、正面から受けない。人気がなくて入りやすい入口を探す
  • うまくいかないときは、努力の量を増やす前に、仮説を変える
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遊佐

Fラン卒・23歳で年収260万の派遣社員から、転職3回を経て28歳で年収900万の事業責任者に。学歴・資格・コネなし、あるのは数字で考える癖だけ。「23歳の自分に渡したかった地図」をここに書いています。

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